多重債務の原因としてのギャンブル依存問題に取り組む宣言

 現在わが国では、パチンコ・パチスロが盛んとなっており、これらをはじめとするギャンブルにはまってしまい自己のコントロールを失い、自らはおろか家族や周りの人々を巻き込んで借金を繰り返す人々が相当数存在する。ギャンブル依存といわれるこの現象は、アルコールや薬物による物的依存との対比からプロセス依存と呼ばれるが、WHOではプロセス依存も依存症の一形態として認められているが、日本の精神医療では保険適用が認められていない。その結果、わが国ではギャンブル依存に対する対応が遅れており、正しい理解や回復への道筋が世間に知られていない。

ギャンブル依存の場合、ほぼ100%借金を返済する目的でギャンブルを繰り返す状態になるため、本人や家族は多重債務の問題として認知する。したがって、ギャンブル依存を抱えた人は多重債務相談の窓口を訪れることになるが、依存症に陥った本人は深い罪悪感のためその原因を告白することは少なく、表面的な相談対応では相談員が認知できずに依存問題への対応ができずにいるのが実態である。ギャンブル依存問題へ対処せずに債務整理のみ行っても、早くて半年ほどで再びギャンブルが始まり、その結果、ヤミ金に手を出したり、横領や窃盗などの犯罪に走ったり、自らへの絶望から命を絶ったりするなど、さらに深刻な事態に至りかねない。

以上のようにギャンブル依存の問題は、極めて深刻な社会問題である。ギャンブル依存の人びとは数百万人いるとも言われ、身近なギャンブルであるパチンコ・パチスロの悪影響は計り知れないものがある。
  私たちを含め多重債務の相談にあたる者は、ギャンブル依存の問題の第一次的なアクセスポイントであるから、ギャンブル依存からの回復への知識は必要不可欠である。にもかかわらず、この点は、政府の策定した「多重債務問題改善プログラム」には触れられてもいない。
  私たちは、まずギャンブル依存を正しく理解し、それぞれの地域でこの問題への回復についての連携を探る活動を直ちにはじめるとともに、今後ギャンブル依存の発生原因を追求し根本的対策のための社会啓発の運動を進めることを決意しここに宣言するものである。

2008年4月5日

全国クレジット・サラ金問題対策協議会秋田拡大幹事会 参加者一同