「多重債務と労働問題」についての宣言

私たちは、「多重債務と労働問題」をテーマにした分科会を取り組み、働き方の問題を中心に実態を交流しながら討論を深めました。

いま、パート・アルバイト・派遣・請負などの名による非正規雇用は、全国で1700万人を超え労働者全体の33.7%に達しています。この10年間で正規雇用は420万人減り非正規が570万人増えています。非正規の約8割が年収200万円未満(06年調査)の低賃金にあえいでいます。そして低賃金の生活苦に追い討ちをかけるように、今年6月からの定率減税廃止による庶民大増税や、医療・年金などの社会保障制度の改悪による負担増がもたらされ、命と暮らしを脅かしています。

憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、生存権を保障しています。しかし、連日のようにJRへのとびこみによって、列車が遅延する状況があります。正規・非正規を問わず長時間・過密労働などによる心身への疾患が増大しています。生活保護費の受給を「自ら断る状況」に追い込められ、あるいは申請が認められずに餓死に至ったという事件も後を絶ちません。ネットカフェ難民、介護難民が生まれ、仕事がなくホームレスとならざるをえない実態があります。

多重債務に陥る背景には、貧困問題があります。貧困の要因は、真面目に働いても最低限の生活に必要な収入が得られない「働き方」と、働こうとしても働き場所が確保できない「失業」の問題があります。

 いま、労働者を貧困に落としいれ、働く者の尊厳と、時には多重債務から自ら命を断つことにもつながっている「働き方」と「失業」問題は、労働者の働く権利と生活の向上を目的とする労働運動にとって、避けて通れない重要な問題です。

こうした中で、貧困と格差の拡大に対する労働者・国民の怒りと、その打開を求めるエネルギーは増大しています。「ワーキングプア」「貧困と格差をなくせ」の労働者のたたかいは、「偽装請負や違法派遣」を告発し、働くルールの確立や最低賃金引上げなどで、世論を変えてきています。各地で労働相談を通じての組合加入や組合結成があり、青年の中での「青年ユニオン」結成の動きも活発になっています。

「働き方」と「失業」は、個人の責任よりも政治の問題です。私たちは、「多重債務」の被害を根絶するために、まともな働くルールの確立、失業の恐怖からの解放、金のないものから金をとらせない社会保障の充実へ、いっそうの国民的な共同と労働運動の分野におけるたたかいの強化を本分科会において確認しました。以上、こうした運動の成功をめざすことを宣言します。

2007年9月30日 第15分科会提案
第27回全国クレ・サラ・商工ローン・ヤミ金被害者交流集会in滋賀 参加者一同