ヤミ金融対策法(2003年成立)以後、取締り強化によってヤミ金融被害は減少したものの、根絶するには至らなかった。サラ金の高金利・過剰与信が大量の多重債務者を生み出し続ける限り、多重債務者を食い物にするヤミ金融の息の根は止まらない。昨年成立した改正貸金業法は、多重債務者を量産する貸金業の構造を抜本的に改革しようとするものである。その完全施行の目途は、2009年12月とされている。ここに、ヤミ金融が蔓延る土壌そのものをなくす展望が開かれた。
だがその前に、230万人を超えるという現在の多重債務者を、相談・救済窓口へ向けて、安全・確実に誘導しなければならない。債務者に自転車操業をさせて利益を得るビジネスモデルの終わりが宣告されて、与信の引き締め、貸金業者の事業撤退など、過剰与信構造の是正過程が現に始まっていると見られる。自転車操業が破綻した多重債務者がヤミ金融の餌食にならないように、相談体制を拡充するとともに、ヤミ金融の完全撲滅に向けて取り組まなけれならない。
改正貸金業法は、年109.5%を超える超高金利の罪及び無登録営業の罪について懲役刑を長期10年、罰金刑を最高3000万円にまで引き上げ、これを今年1月から前倒し施行している。
衆議院及び参議院の財政金融委員会では「違法業者に関する情報を広く一般から効果的に収集するための手法の導入に努めること」を求める旨の附帯決議がなされている。
また、政府の「多重債務問題改善プログラム」は、「ヤミ金融の撲滅に向けた取締りの強化」を掲げ、1,警察は集中取締本部により摘発を強化すること、2,被害相談を受けた警察は電話による警告等を積極的に行うこと、3,携帯電話の不正利用停止制度の積極的活用を検討することなどを、直ちに取り組むべき課題として具体的に挙げている。
そこで、私たちは、